日本犬と呼ばれるものには、大きく分けて、3つの種類があります。
1つめは、猟犬や家庭犬として、私たち日本人の古くからのパートナーである日本在来犬。
2つめは、日本在来犬と外来犬との交配種。
3つめは、外来犬をルーツに持ち、日本で品種改良された、日本を原産とする種類です。
そこで今回は、3つの種類の日本犬を、日本国内の過去7年間の累計登録頭数をもとに、順位付けし、その魅力を歴史や特徴と共に、ご紹介していきたいと思います。
(ジャパンケネルクラブ様のHP記載の登録頭数を参考にさせて頂きました)
では、早速見ていく事にしましょう。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 11位 アメリカン・アキタ
登録頭数:1
アメリカン・アキタは、秋田犬とジャーマン・シェパード・ドッグとの交配種です。
第二次世界大戦後に、アメリカ兵が母国へ連れ帰った秋田犬がルーツとなっており、「グレート・ジャパニーズ・ドッグ」とも呼ばれています。
見た目は、秋田犬よりやや大きく、頭部が広く、マズルが短いのが特徴です。
警戒心と自立心が強い秋田犬と比べ、警戒心はそれほど強くなく、人懐っこい性格をしています。
7年間で登録頭数は1頭のみと、なかなかお目にかかれない犬種と言って良いでしょう。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 10位 土佐犬
登録頭数:20
土佐犬は、四国犬をベースに、マスティフやブルドッグ、グレート・デーンなどを交配して作出された大型犬です。
はじめから闘犬用として生み出された犬種で、土佐闘犬と呼ばれることもあります。
日本最強の闘犬としての呼び声が高く、海外でも「ジャパニーズ・マスティフ」と呼ばれ#認知されています。
最近では、動物愛護の観点から闘犬の文化は廃れ、登録頭数も減ってきていますが、家庭犬として飼われるケースも、少ないながらも見受けられます。
基本的には飼い主やその家族に対しては、従順で優しく、寛容な性格をしているとされます。
しかし、闘犬ルーツの気性の荒さは失われておらず、一度興奮すると、経験豊富な飼い主であっても、制御困難となる場合もあり、土佐犬による傷害事件が度々ニュースになる程です。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 9位 紀州犬
登録頭数:52
紀州犬は、紀州地方(和歌山、三重県)の山岳地帯で古くから飼われ、イノシシやシカ猟で活躍していた、日本在来犬です。
紀元前より日本にいた中型犬を祖先に持ち、1934年に、国の天然記念物にも指定されました。
被毛の色は、白、赤、胡麻などが存在していますが、現在ではほとんどが白に統一されてきており、紀州犬のイメージカラーとして定着しています。
筋骨たくましい均整のとれたボディと、気品がある顔が特徴です。
飼い主には従順で、温厚な性格をしていますが、他人には警戒心を露わにします。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 8位 四国犬
登録頭数:213
四国犬は、主に四国の高知の山岳地帯で、クマやイノシシを狩る狩猟犬として活躍していた、中型の日本在来犬です。
元々は土佐犬と呼ばれていましたが、明治以降に外来種の交配によって作出された、土佐闘犬との混同を避けるために、四国犬と改称されました。
野性味が色濃く残り、日本犬の中で、最も素朴な風貌と評され、オオカミと見間違われる事が多い犬種でもあります。
飼い主やその家族には異常なまでに従順なのですが、他人に対する警戒心が強く、番犬に適しています。
その反面、他人に対する警戒心が強いあまり、激しく吠えたり、噛みついたりと、非常に攻撃的になるため、子犬の頃からの躾を徹底する必要があります。
尚、1937年に、国の天然記念物に指定されています。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 7位 北海道犬
登録頭数:218
北海道犬は、主に北海道で先住民族のアイヌが、ヒグマやエゾシカの狩猟犬として用いていた、中型の日本在来犬です。
アイヌ犬とも呼ばれ、1937年には、国の天然記念物に指定されました。
ルーツは、縄文人が東北地方から、北海道に渡る際に連れて来たマタギ犬にあるとされています。
他の中型犬と比べ、ややずんぐりとした体型をしており、頑丈な骨格と屈強な筋肉、非常に強い足腰を持っています。
極寒に耐えうる剛毛も特徴の一つです。
飼い主に対しては、従順で忠実なのですが、大胆で警戒心が強く、気性が荒い側面もありますので注意が必要です。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 6位 日本テリア
登録頭数:545
日本テリアは、18世紀初頭に、オランダから長崎に渡来した、スムース・フォックス・テリアをルーツとした小型犬です。
渡来後、小型の在来犬や他のテリアとの交配により、神戸を中心とした関西エリアで作出されました。
大正時代の横浜や神戸などの港町では、抱き犬として女性からの人気を集め、さらに、1930年~32年の昭和初期には、日本テリアブームが起こるほどの人気を誇りました。
性格は、愛情深く優しい反面、自尊心が高く、自己中心的な面も持っています。
警戒心が強く臆病で、見知らぬ人の前では、ブルブルと震えていることもあります。
寒さに弱いため、冬場の寒い日は、犬用の服を着せるなど保温対策が必要です。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 5位 甲斐犬
登録頭数:857
甲斐犬は、甲斐の国、現在の山梨県に古くから存在し、シカやクマの狩猟犬として活躍してきた、中型の日本在来犬です。
仲間意識が強く、自分の群れ以外を警戒する性質から、長い間純血が保たれてきたとされ、1934年には、国の天然記念物に指定されています。
「虎毛犬」とも呼ばれ、黒虎毛、中虎毛、赤虎毛の毛色に分かれ、子犬の頃は#単色でも、成長するにつれ虎毛模様が現れてきます。
野性的で引き締まった体型をしており、高い運動能力と知力を持っているのも特徴です。
性格は勇敢で沈着、飼い主には従順で、飼い主以外の人間には心を開かず、ひとりの飼い主に、一生忠誠をつくすことから、「一代一主の犬」とも言われています。
警戒心が強く、飼い主の知人であっても気を許すことがなく、番犬としても優秀な犬種です。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 4位 秋田犬
登録頭数:2400
秋田犬は、もともと秋田地方のマタギ犬を基礎とした、日本在来犬で唯一#大型犬に分類されている犬種です。
日本を代表する犬種で、国際的にも広く認知されており、秋田県と秋田犬保存会から、ロシアのプーチン大統領や、フィギュアスケートのザギトワ選手に贈られたことでも話題となりました。
また、1937年には、国の天然記念物にも指定されています。
骨太でバランスの良い体格をしており、上向きに生えた太く力強い尻尾も特徴です。
「忠犬ハチ公」で広く知られるように、飼い主への忠誠心と、愛情深い性格が特徴で、冷静沈着、行動は控え目で、番犬として優れています。
一方で、防衛本能が高く、他人や他の犬に対する、攻撃性が高い側面もありますので、子犬の頃からの躾が特に大切な犬種と言えるでしょう。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 番外編
ここで、ベスト3を前に、番外編として、日本の特定の地域に根付いている地犬、既に絶滅してしまった日本在来犬、日本在来犬の祖となった犬などをご紹介しておきたいと思います。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 番外編① 地犬
公益財団法人、「日本犬保存会」が指定する6種以外の、特定の地域のみに生息する日本犬を「地犬」と呼びます。
それぞれ、少数の個体ながら、固有の特色を持っており、地域ごとに保存活動が続けられ、県の天然記念物に指定されているものもあります。
全国の主な地犬を、列記しておきたいと思います。
岩手犬(岩手) 十石犬(群馬、長野)
川上犬(長野) 美濃柴犬(岐阜)
三河犬(愛知) 山陰柴犬(鳥取、島根)
肥後狼犬(熊本) 薩摩犬(鹿児島)
屋久島犬(鹿児島) 琉球犬(沖縄)
大東犬(沖縄)など
人気犬種ランキング~日本犬編~ 番外編② 越の犬
越の犬は、1934年に、国の天然記念物に指定され、日本在来犬の1つに数えられていた犬種です。
1971年に、最後の純血の個体が死亡し、純血種の絶滅が確認されています。
越の国(現在の福井県敦賀市から山形県庄内地方の一部)に根付いていた猟犬をルーツとしていました。
現在、原産地域に、本種の血を引く犬が、数十頭生存してはいますが、保存活動も活発とは言えない状況なので、近い将来、混血種も消滅してしまうかもしれません。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 番外編③ 縄文犬&弥生犬
縄文犬と弥生犬は共に、現在の日本犬の祖となった犬種です。
縄文犬は、人と共に南方より日本列島に入って来たとされ、狩猟犬として、イノシシ狩りなどに利用されていたようです。
中小型で、鼻筋の通った細面、立ち耳、巻き尾などの特徴を持っていました。
一方の弥生犬は、弥生時代に、朝鮮半島からの渡来人と一緒に日本列島に入ってきました。
現生の四国犬と似た容姿をしており、やや大型で脚も長く、彫りの深い顔つきだったと言われています。
狩猟の時代から農耕の時代へと変化したこともあり、食用目的として飼われたケースもあるようです。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 3位 狆(ちん)
登録頭数:2799
狆は、奈良時代に朝鮮半島に存在した国、新羅から聖武天皇に献上された犬を祖先としています。
元々のルーツはチベットの小型犬、ペキニーズやチベタン・スパニエルにあり、日本で愛玩犬として改良・繁殖が続けられ、明治に入ってから、現在の容姿に固定されたと言われています。
けものへんに中と書く漢字が当てられたことからも分かる通り、犬は外で飼うものとされていた日本で、狆だけは例外的に室内で飼われていました。
暑さにも寒さにも弱いため、エアコンなどで室内の温度管理が必要となります。
室内で飼う愛玩犬として改良されてきた結果なのか、抜け毛や体臭も少な目です。
いたずらも少なく行儀が良く、愛情深い性格をしており、見知らぬ人にも愛嬌を振りまくのですが、一方でプライドが高く、頑固な一面も持っています。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 2位 日本スピッツ
登録頭数:7577
日本スピッツは、真っ白な毛並み、黒く大きなアーモンド型の目を特徴とする小型犬です。
海外から持ち込まれた祖先犬を、日本で品種改良し、作り出された犬種です。
その元となった犬種には諸説あり、ジャーマン・スピッツ、イタリアン・ボルピーノ、シベリア原産のサモエドあたりが有力とされています。
いずれにしても、品種改良が進む内に、先ほどの3種の血統が取り入れられたのは間違いなさそうです。
昭和30年代には、日本スピッツの一大ブームが巻き起こり、日本犬を含む全犬種の中で、登録頭数トップになるほどの人気でした。
しかし、鳴き声がうるさく、ムダ吠えも多かったため、次第に人気も低迷していくこととなりましたが、現在では改良され、人気も回復してきています。
陽気で活発な性格をしており、飼い主や家族には愛情深く、従順な反面、神経質で繊細なところも持ち合わせています。
人気犬種ランキング~日本犬編~ 1位 柴犬
登録頭数:72712
柴犬は、日本在来犬6種の中で、唯一の小型犬です。
そのルーツは、縄文時代に、南方からの渡来人と共に渡ってきた縄文犬にあり、1936年には、国の天然記念物に指定されています。
ピンと尖った耳に、クルッと巻いた尻尾、小型ながらもたくましく、がっしりとした体格をしています。
素朴で可愛らしい容姿と、飼い主へのひたむきなまでの従順さは、日本のみならず、世界中で人気となった主な理由と言って良いでしょう。
飼い主や家族に寄り添い、愛情深く接してくれる優しさも持っています。
また、利口で従順なため、初心者でも躾がしやすく、飼いやすい犬種とも言えるでしょう。
かわいらしい容姿にも関わらず、DNA分析の結果、あらゆる犬種の中で、一番オオカミに近い犬種であることも判明しており、そのギャップも魅力となっています。
人気犬種ランキング~日本犬編~ まとめ
大方の予想通りだとは思いますが、柴犬の人気は圧倒的でしたね。
私は、土佐犬を純粋な日本犬だと思っていましたので、外来犬との交雑種だと知って、恥ずかしながら、非常に驚きました。
また、日本犬特有の従順さ、素直で誠実な性格などを理由に、海外人気が高まっているのは、日本人としても誇らしい限りです。
もっと日本犬の良さが広まり、さらに世界中で愛されると良いですね。
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より分かりやすく、楽しんで頂ける内容になっております。