世界一強いアリは何なのか?
アリは日本で2800種、全世界では100万種以上も存在しています。
大きなアリ、特技を持っているアリ、集団統率に優れたアリなど、個性も豊かです。
そこで今回は、世界のアリの中で、最強なのはどの種なのか、ランキング形式で、その特徴と共にご紹介したいと思います。
尚、このランキングは、下記の3つのルールに沿って順位付けしております。
3つの選定ルール
1、1対1ではなく集団での強さ
2、同じ属からは上位の1種のみ
3、軍隊アリは最強の1種のみ
世界のアリ最強ランキング 6位 ブルホーンアカシアアリ
ブルホーンアカシアアリは、中央アメリカ全土で見られるブルホーンアカシアと共生関係にあることから、この名が付けられました。
働きアリの最大体長は10mm程度で、オレンジに近い茶色の身体と、大きな目を特徴としています。
相利共生の関係にあるブルホーンアカシアのために、近寄ってくる他の虫を攻撃し追い払い、他の植物のツルが巻き付くとそれを切断し、周囲に生える雑草を駆除することもあります。
代わりに、住む場所と甘い蜜を享受するという訳です。
うっかりこの木に近づいてしまった者は、針でのズキズキと激しい痛みをもたらす攻撃を、集団により受けることになります。
木から地面に降りて攻撃したり、木から飛びかかるなど、広い守備範囲と高い攻撃性も特徴です。
また、近年の研究結果により、ブルホーンアカシアが彼らに提供している蜜には、特殊な酵素が含まれており、その蜜以外を消化出来なくさせてしまう作用機序があることが判明しました。
その事実から、共生というより、アカシアの蜜に依存させられている、隷属させられていると言った方が正しいのかも知れません。
世界のアリ最強ランキング 5位 ジャックジャンパーアント
ジャックジャンパーアントは、オーストラリアに生息するキバハリアリ、英名ではブルドッグアリとも呼ばれるアリの仲間です。
働きアリの最大体長は14mmと大きく、ギネスブックに「世界で最も危険なアリ」として認定されているほど獰猛です。
人間に対しても恐怖を示すことはなく、大きなキバで獲物を挟み込み、お尻の毒針で素早く何度も連続して刺し、毒を注入してきます。
生息域であるタスマニア島では、あらゆる野生生物による死亡事故の中で、ジャックジャンパーアントを含むキバハリアリによる犠牲者が最も多いと言われています。
強力な毒が、アナフィラキシーショックを引き起こさせるためです。
また、ジャックジャンパーアントは、最大50cmもの距離をジャンプすることが可能で奇襲攻撃を得意とします。
優れた敏捷性と視力も持ち合わせているため、攻撃の成功率をグッと高めているのです。
単独でも、自分より遥かに大きな獲物を仕留める能力を持っているのですが、数匹程度の集団で襲いかかることもあり、狙われた獲物は、絶望を味わう事になるでしょう。
世界のアリ最強ランキング 4位 ハキリアリ
ハキリアリは、北米東南部、中南米の熱帯雨林帯を中心とした地域に、広く生息しています。
「農業をするアリ」として知られている、興味深いアリです。
葉を切って巣に運び、床に葉を敷き、種菌を植えつけ、アリタケと呼ばれるキノコを栽培します。
キノコと言っても、私たちが想像するような傘のあるキノコではなく、カビのような見た目をした「菌糸体」であり、それを餌とするのです。
体色は赤褐色、体長は3mm~20mmと、大きさにばらつきがあるのも特徴です。
最大である女王アリから、大型兵隊アリ、大型働きアリ、さらに体が小さくなるに従って、葉を切る、運ぶ、葉を組み上げるなど、細かい作業に従事するようになります。
ハキリアリの歯は、シャープな切れ味を保つため、亜鉛とマンガンなどにより硬度を高められていることが、研究により明らかにされています。
その切れ味は、ステンレスナイフにも匹敵するというから驚きです。
切れ味鋭い歯を武器とする、ハキリアリの大型兵隊アリは、1対1で戦った場合、このあと1位で登場するそれの兵隊アリを凌駕するほどの戦闘力を持っていると言われています。
世界のアリ最強ランキング 番外編
ここで、ベスト3を前に番外編として、日本に侵入してきた危険な外来アリ2種と、特殊な戦闘能力を持ったアリ1種をご紹介しておきたいと思います。
世界のアリ最強ランキング 番外編① ヒアリ
ヒアリは、元々南米大陸に生息する、強いアルカロイド系の猛毒と好戦的な性格を持ったアリです。
世界の侵略的外来種ワースト100にも選ばれており、現在では、北米やオーストラリア、アジアの一部まで生息域を拡大しています。
体長は2.5mm~6mmと、大きくありませんが、北米だけで年間100人もの方が、毒によるアナフィラキシーショックにより亡くなられています。
日本でも2017年に、神戸港で初めて発見されて以来、複数の場所で発見されており、日本に定着するのも時間の問題と見られています。
世界のアリ最強ランキング 番外編② アルゼンチンアリ
アルゼンチンアリは、先ほど登場したヒアリと同じく、元々は南米大陸に生息していたアリで、世界の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
現在では、北アメリカ、オセアニア、ヨーロッパや南アフリカでも生息が確認されています。
最大体長は働きアリで2.5mm、女王アリで10mm程度ですが、1つの巣に複数の女王アリが存在するため、一つのコロニーで、100万匹以上にも及ぶ超巨大コロニーを形成することもあります。
そのため駆除や根絶が容易ではなく、人家に侵入し、人間の身体を這いまわり、噛みつくなどの被害を及ぼしています。
日本でも1993年に、広島の廿日市市で発見されて以来、他の11都道府県でも発見されるなど、繁殖拡大が進んでいます。
世界のアリ最強ランキング 番外編③ ジバクアリ
ジバクアリは、マレーシアとブルネイで生息が確認されている、その名の通り「自爆」するアリです。
体長は5mm程度で、バクダンオオアリ、カミカゼアリとも呼ばれ、自分が不利な状況になると、腹筋を収縮することによって、大きな大顎線を爆発させます。
大顎線には、粘着性の毒液が蓄えられており、巻き込まれた相手は身動きする事が出来ず、毒により身体のあらゆるところに異常をきたしながら、無残な末路を辿ることになります。
自爆ですので、自らの命と引き換えなのは言うまでもありません。
世界のアリ最強ランキング 3位 パラポネラ(サシハリアリ)
パラポネラは、南米ニカラグアからパラグアイの、湿潤な低地多雨林に生息するアリです。
最大体長は30mmにも及び、毒を持った刺し針で刺されると、焼けるような激痛を生じさせることから、「弾丸アリ」の異名を持っています。
実際に刺された時の痛みは、あらゆるハチやアリの中で最大であるとされ、シュミット指数というペインスケールでも最大ランクに位置づけされています。
強力な刺し針にちなみ「サシハリアリ」という和名を持ち、24時間もの間、痛みに苦しむケースもあることから、現地では「24時間アリ」と呼ばれることもあります。
性格は攻撃的で、金切声をあげながら、強力なアゴの力で相手を襲い、抑えこみ、自慢の刺し針で止めを刺します。
女王アリと働きアリとの体格差が少なく、アリ特有のカーストを伴う集団形成をしないことも特徴です。
主に単独で、樹液や小型の節足動物を摂取するのですが、単独行動を行えるほどに、個の能力が高いのだとも言えます。
しかし、集団による統率された攻撃をしない事は、パラポネラにとって最大の弱点とも言えるでしょう。
世界のアリ最強ランキング 2位 ディノポネラ(ディノハリアリ)
ディノポネラは、南米のアンデス山脈東部の熱帯雨林帯に生息する、世界最大のアリです。
最大体長30mmを超えるものも存在し、女王アリともなれば、40mmもの大きさになります。
3位で登場したパラポネラと生息域が被ることもあり、良く比較されますが、体格においてディノポネラが勝っていること、習性が似ていることから、パラポネラの上位互換種として見られることも多いようです。
稀ではありますが、実際にパラポネラを捕食することもあり、昆虫類だけではなく、カエルや小型の爬虫類をも捕食します。
刺し針の威力は、パラポネラに敵わないのですが、アゴの力はディノポネラに軍配があがり、人の皮膚を簡単に噛み破って、出血させるほどの威力を持っています。
40mmもの巨大なアリは、想像を超えており、アリと呼ぶのも憚れそうな存在です。
しかし、獲物にとって救いなのは、パラポネラと同様、単独での狩りを主体とし、集団による統率ある攻撃をしてこないところでしょう。
個での戦闘力は間違いなく1位なのですが、集団での戦いの場合、この後登場する1位のアリには、圧倒されてしまうことになります。
世界のアリ最強ランキング 1位 バーチェルグンタイアリ
バーチェルグンタイアリは、南米の湿潤な熱帯雨林に生息しており、軍隊アリと呼ばれるアリの中で最強を誇る種類です。
決まった巣を持たず、20メートル以上の隊列をつくり、食べ物を求め転々と移動して行きます。
最大体長は20mmに及ぶものもあり、女王アリ、雄アリ、働きアリと3つの階級に分かれています。
さらに、働きアリは4種類に分類され、隊列を見守る”メジャー”、捕った獲物を運ぶ”サブメジャー”、獲物に噛み付くなど狩りを行う#”メディア”、繋がり、橋になり、他のアリを渡らせる”マイナー”に分かれています。
集団のサイズは、最大で2200万匹にも及ぶほどで、圧倒的な数と獰猛さを武器に、昆虫や爬虫類をはじめ、鳥類、弱っている大型の牛や馬までも捕食してしまいます。
映画やテレビでは、軍隊アリが集団で人間を襲うシーンを見かけますが、通常は人間を襲うことはありません。
しかし、無抵抗な赤ちゃんや、酔っぱらって眠ってしまった人など、不幸にもグンタイアリの餌食となってしまった事例は、確かに存在します。
毒によるアナフィラキシーショックなど間接的な要因を除き、条件はどうであれ、直接的に人を死に至らせることが出来る昆虫は、軍隊アリをおいて他に存在しません。
ちなみに、アフリカに生息する「サスライアリ」も、バーチェルグンタイアリと生息する大陸が違うだけで、基本的には習性や特徴はほぼ同じだということを付け加えておきたいと思います。
世界のアリ最強ランキング まとめ
アリ最強ランキング、いかがだったでしょうか?
軍隊アリの数的圧倒、密集具合は、集合体恐怖症(トライポフォビア)の方でなくとも、言い知れない恐怖を感じることでしょう。
また、刺されたら、痛みレベルマックスと表現されているパラポネラに、一度刺されてみたいと思うのは、私だけでしょうか。
尚、このランキングは、冒頭で定めた一定のルールに基づき、私個人の独断と偏見をもとに、敢えて順位付けしたものに過ぎません。
エンターテイメントの延長線として捉えて頂けましたら幸いです。
世界のアリ最強ランキングを動画で視聴する
今回の掲載記事「世界のアリ最強ランキング」の動画Verを作成してみました.
こちらもご覧いただければ幸いです。